
ゲーテになりたい
ドイツの芸術家ゲーテと、著者との対話集です。芸術とは何かという限りない創作の迷路を歩く著者に暖かいまなざしと助言を与えるゲーテの言葉に、読んでいて自分が語りかけられているような気分になります。著者の(訳者)表現も、自然主義者らしく簡潔に、しかし的確に情景を描写しているので、文章も簡便で分かりやすいです。「座右のゲーテ」でゲーテ入門し、最近ゲーテもイタリア旅行記も買いましたが、政治・経済・芸術・自然学・言語学あらゆる学問に精通し、かつクリエイター・人格者でもあったスーパーゲーテに触れることのできる一冊です。今上を読んでますが、中・下までそろえてかいたいと思います。読みやすくて、とてもいい本です。

全部読むのは大儀だなぁ
エッカーマンが晩年のゲーテとのやりとりを収めたもの。日記という形式を取っている為、やや冗長のきらいがある。また、200年近くも前の出来事なので、知らない人が一杯出て来ていまいちピンと来ない。
しかし、詩人であり芸術に関する造詣が深く、光や植物の研究など自然科学に関しても一流と言われる鉄人じゃなかった哲人ゲーテ。彼が長い間考えてきたことや彼の価値観、人柄などがエッカーマンのお陰で知ることができる。
正直なところ、忙しい受験生やビジネスマン、主婦などにはお薦めしないが、芸術や学問(特に自然科学)を志す人は読んでおくべきだろう。
しっかし、エッカーマンは日付や曜日間違えすぎ!いい加減だなぁ。俺みたい(笑)

クリエイティブなことを志す人なら、読んで損はないです
生涯にわたって恋愛や芸術、学問などへの情熱を変わらなく持ち続けたゲーテの、74歳から死までの約10年間の対話録です。
内容は、若い芸術家に向けたアドバイスのほか、文学、美術、演劇、自然科学、宗教、当時の芸術や時事ニュースに対するコメントなどなど、すばらしく多彩です。具体的に言うと、シラーやナポレオンなどの人物を語り、古典やシェークスピアを賞賛し、誇大妄想気味なロマン主義を敬遠し、自分が研究した色彩論に熱中したりしています。とにかくゲーテの隣人愛に満ちた朗らかな性格が随所ににじみ出ています。簡潔な注釈も付いているので、古典やヨーロッパ文学にあまり詳しくなくてもついていけます。

絶えず努力して励む者を、われら(=天使)は救うことができる。--ファウスト
「ゲーテとの対話」は、ゲーテ本人の多くの著作以上に広く読まれている、ゲーテの代表作(?)です。ゲーテは霊魂の不滅を信じていました。「いつまでも働くことをやめない生命には、永遠を要求する権利がある」(1829年2月4日)。精力的な活動家であるゲーテは、基本的に楽観主義者なのだと思います。努力は実を結ぶ、正義は勝つ、愛は報いられる。--残念ながら現実は必ずしもそうではないと思うのですが、こういう信念が私たちを元気づけてくれることは確かです。現在私たちにおなじみのハリウッド映画やテレビドラマは、大抵このゲーテの精神を継承しています。「努力する限り人間は迷いつづける」(ファウスト)。ファウストはグレートヒェンを誘惑して捨て、罪のない老夫妻を殺させ、にもかかわらず天国に行きます(しかもその天国行きを導くのがあのグレートヒェンだというのですから、随分虫のいい話です)。ゲーテは、神を引きずりおろし自分に奉仕させようとしている点で、「神を否定しないが認めない」と言ったイワン・カラマーゾフと同じことを要求しているのではないでしょうか?ーー私はヒューマニストのゲーテより、ニヒリストのシェイクスピアのほうが、世界を正確に見ていると思います。「時よ、止まれ、君は美しい」は、ニーチェによって「これが生であったか、それならもう一度」と書きかえられることになります。ゲーテと共に選ばれた者であるニーチェは、超人を目指します。ところでドストエフスキーは、私たちが本来の自分よりも優れた人格になる瞬間がある、と主張しています(逆に、堕落する瞬間も)。しかもそのようになれるのは、選ばれた超人ではなくて、子供だったり無学の者だったりもします。ーー私は「運命愛」を説くニーチェより、「永久調和」を知っているドストエフスキーのほうが、人間を正確に見ていると思います。