
食わず嫌いせずに読むべし
いわずとしれた福沢諭吉翁の自伝。大学時代には何かこう敬遠して読めなかったが、社会人生活も長くなりふと手に取ったところ、ようやく完読を実現し、「宿題」を終えたような気分。それにしても、このからっとした爽やな読後感はどうだ。この一書から学ぶべき第一は、何物にも囚われない自主自立の精神の大切さであろう。私も幕末から明治時代に生まれて、彼のように自由に生きたかった。

一つの人生で二つの時代を生きた「良識の大家」
若い人には是非読んでもらいたい。一つの人生で二つの時代を生きた「良識の大家」福沢諭吉の精神の平衡力に脱帽。内容が痛快、読んでいて素直に楽しい本でもあります。一万円札になった理由は・・・本人が知ったら悲しみますよね。"

自伝でもあるし、良質の資料
自伝文学の傑作といわれているが確かに面白い。
幕末最強とも言われる剣客ながら、
当代随一というか日本史上有数の頭脳を持った人間が、
これまた日本史上未曾有の転換期に生まれ合わせたことが、
この本の面白さを成り立たせている。
福澤は基本的には品行方正ではあると自らを語るが、聖人君子ではない。
祠のご神体をそこらの石ころと置き換えて笑い転げ、
子供の頃から酒好き、
所属の中津藩に対しては「その卑劣朝鮮人のごとし(本文小見出しより)」と、
己の行動の卑しさを振り返る。
だが、そういう自分を恥じながらも、
どこかで「それでもいいじゃん」とでも言いたげな開けっぴろげさがある。
印象的だったのが、大阪留学時代だろうか。
福澤のほかにも大村益次郎とか大鳥圭介とか人材を輩出した有名な適塾だけど、
その気風は荒っぽいというか、小汚いというか、
優秀なはずなのに破天荒で笑える。
志と能力にあふれた若者が、
こういう青春を送れたおおらかな時代がちょっとうらやましい。
特定アジア方面で福澤の評価はとても低い。
金玉均に肩入れして失敗とか、経緯はあるにせよ、
結果として福澤は支那も朝鮮を見下していることは読めば明らかだろう。
平山洋は「民族そのものをおとしめたことはなかった」という彼の主張は、
上の小見出しを見るとほんまかいな?と思う。

読むのが遅かった。
50歳になって初めて読んでいては悔しいばかりなのですが、それでもとても役に立ちました。理屈っぽいところもありますが、応酬話法の基本を感じさせてくれる喋り方は面白かったです。大変な時期に重要な助言を与え続けてきた立場の人なのですが、とても身近な印象を抱かせる普通のお酒大好きオジサンだったのが判りました。小学生高学年からでも読んでもらいたい本ですね。私の頃には野口英世やエジソンでしたけれどねぇ。誰もこの本を薦めてくれなかったような気もしますが・・。

抱腹絶倒の青春期
なにやら学園物を読んでいるようにも見える自伝であるが、古典・一次史料本としても貴重
な本。著者の適塾時代は、将に現代の学園物とも見えるし、漫画家手塚治虫のご先祖である
手塚良庵の間抜けなエピソードは、まず本書と同時に手塚治虫の「陽だまりの樹」も読んで
頂くとなおおもしろい!
只の青春期だけではなく、幕末の機危機の時代に幕臣達がどう対応したのか?福沢の冷めた
目で見た幕府キャリア達が右往左往する様と、それを横目で「我関知せず」を貫き、時代の
傍観者の目で眺めた福沢の門閥に対する皮肉な視点。そして当時の攘夷派に対する毒舌など
次の時代の主は俺たち洋学者という自負(ある意味ゴーマニズムに通じるが)が見れる。
自分が一番笑ったのが、咸臨丸で日本に帰還するときに、アメリカの娘さんとツーショット
の写真を撮っておいてそれを仲間に秘密にしておいて、後に全員に自慢する茶目っ気たっぷり
な話。本当にマンガのような世界である。是非読めれたし!