
本書を読めば書物もメンターになりうるということが理解できるかもしれない
これは政治家という夢破れた知人が先日薦めてくれた一冊です。
内村鑑三は、キリスト教思想家・文学者・伝道者・聖書学者であり、福音主義信仰に基づく日本独自のいわゆる無教会主義を唱えた人物です。著書としては『代表的日本人』が有名です。
本書は明治27年夏期学校における講演録であり、
「普通の人間にとって実践可能な人生の真の生き方とは何か」という深いある意味哲学的な問いをもって、いかに生きるべきかを熱っぽく説いています。
そして内村氏は「われわれは後世に何を遺していけるのか」というさらなる問いを突きつけます。
これには内村氏に一つの結論があります。
「われわれは何をこの世に遺して逝こうか。金か。事業か。思想か。…何人にも遺し得る最大遺物―それは高尚なる生涯である」。
後世のためになるようなお金や事業や思想は、残すことがなかなか難しいですが、「勇ましい高尚なる生涯」であれば、誰にでも残せることができると書かれています。
要は人のためでも自分ためでも、全力で困難に立ち向かい生き抜いた様は、後世のためになると同氏はいいたいのでしょう。
周りにメンター(師)がいないと嘆かれている方は、本書を読めば書物もメンターになりうるということが理解できるかもしれません。

日本人一人一人は、そして日本と言う国はこれからいかに生きるべきか
●後世への最大遺物
内村鑑三先生が、若者向けに「何を後世に残すか?金?事業?思想?」を講演した講演録。
途中、恩師のクラーク先生(「少年を大志をいだけ」の)のくだりが出てきておもしろい。
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クラーク先生を第一等の植物学者だと思っておりました。
<中略>
ある学者が、クラークが植物学について口を利くなどとは不思議だと笑っておりました。
<中略>
とにかく先生は非常な力を持っておった人でした。
どういう力かといいうと、すなわち植物学を青年の頭につぎ込んで植物学という学問のInterrestを起こす力を持った人でありました。
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●デンマルク国の話
狭い国土をドイツとの戦争に敗れて、3割方失ってしまったデンマルク国、残されたものは荒れ果てた北海道の半分くらいの土地だけ、その国が何によって、世界に胸を張れる大国になったか?
一人の敗軍の兵士ダルガスが、
「外に失いしものを内において取りかえさん。我らの世代であの荒野をバラの花のさく豊かな土地にするのだ。」と叫び、祖国復活の掛けに出たのです。

ただよく生きることに大きな価値がある
哲学者の天野貞祐が学生に勧める書として、内村鑑三「後世への最大遺
物」・アリストテレス「ニコマコス倫理学」・ヒルティ「幸福論」を挙げてい
る。
後世への最大遺物―勇ましい高尚なる生涯
難しいことではありません。各人が信じるように、よく生きるということ
です。本書は、それがなぜ最大遺物なのか、やさしく語れています。
倫理が疎かにされている時代です。なんでもありになっている社会です。
それを、次の世代のためにも変えていけるのは、私たち一人ひとりの生き
方ではないでしょうか?
人生をよく考えて見たい方にお勧めします。そして、本書の次に、「ニコ
マコス倫理学」を読むことをお勧めします。

未来への希望
どうやって生きていけばいいのだろう、何のために頑張ればいいのだろう、そういった疑問を優しい言葉で説いてくれる。金、事業、教育それらを残すのも遺物。しかし万人に行える「最大遺物」、それこそが我々のこれからの希望になることだろう。

悩ましい…
生まれてきたからには、なんらかの足跡をこの世に残したい。
そんな風に考える人には必読の書でしょう。
誰もが後世に遺すことのできる「最大遺物」とは何か?
内村鑑三は、金でもなく、事業でもなく、思想でもなく、
「勇ましい高尚なる生涯」であると説く。それはまた、
「己の一生涯をめいめい持っておった主義のために送る」
ことであるという。
しかしその言葉は、私たちを強く勇気づけると同時に、
より一層悩ましい問いへといざないもする。
いったい如何なる「主義」を持てばよいのであろうか。
それこそが最大の問題である。