
幕末から明治初期の貴重な資料
本書は、幕末から明治を駆け抜けた英国外交官の貴重な資料である。
サトウの名前は、他の文献や坂本龍馬全集(書簡集)などにも散見される。
また、国語学の貴重な資料でもあり
将軍が大君とか
慶喜にケイキとルビが振られているのは
その当時の言葉をそのまま反映しているからである。
そういう視点からも一読に値する。

動乱の時代
下巻には19-36章を収める。
政治史の資料として一級品。大政奉還から明治天皇の東京入りの頃という、まさに動乱の時代がリアリティを持って記録されている。当時の政治家たちの肉声が伝わってくる点も興味深い。
文化史、読み物としてはいささか物足りない。

英国外交官の目を通して内側から見た明治維新
(上巻のレビューの続き)
下巻には、1867年7月頃から、賜暇帰国する1869年2月までのことが書かれている。この頃になると、日本人の心情をかなり理解できるようになった著者は、日本食を好んだばかりでなく、芸者を揚げてのどんちゃん騒ぎも相当楽しんだようである。また、西郷隆盛、後藤象二郎、桂小五郎、伊藤博文、勝海舟、大久保利通などに直に接して情報を提供しあい、日本のとるべき政策や政治制度などについて話し合っている。そこからは当時の彼らがどういう考えを持っていたのかが分かるだけでなく、大政奉還前後に起きた様々な事件の意味合いも明瞭になってくる。朝廷、幕府、各藩の力関係も教科書を読むより把握しやすい。戦前は禁書として扱われていたことがうなずける、明治維新を内部から描いた一級の資料である。