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安保条約の成立―吉田外交と天皇外交 (岩波新書)

安保条約の成立―吉田外交と天皇外交 (岩波新書)
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発売日:1996-12
ランキング:88720
おすすめ度:5.0 | レビュー数:1
おすすめ度:5自主外交を破綻させた昭和天皇
昭和天皇がマッカーサーに対し、米軍による日本の安全保障を求めたのは、象徴として政治的行為を禁じられた新憲法施行後(1947・5・6)のことであるとして、これ以後、吉田茂を蔑ろにして行った昭和天皇による憲法違反行為(二重外交)の顛末が紹介されている。アメリカの至上課題は、日本に対する再軍備要求どころではなく、現状維持(日本の全土基地化)であった。吉田茂の外交政策(防衛はアメリカに任せて、日本は経済復興に専念する)は、アメリカに対する確固たる独立心に支えられた「あえてする」対米従属であり、冷戦体制を控えた独立交渉における有力な外交カードこそ、基地提供の諾否であった。著者の推測が興味深い・・・●労働運動の高まりとともに、共産主義者による戦争責任追及を恐れた昭和天皇は、治安対策として米軍駐留を積極的に求め、基地提供を外交カードに使う吉田茂を内奏で詰問・叱責した・・・●「臣茂」を称して天皇に対する深い崇敬の念を終生もちつづけた吉田茂は、天皇の御下命を無条件に受け入れ、アメリカに対し基地提供を自発的に申し出るはめになった・・・外交資源の総力をあげて傾注すべき周辺諸国との信頼回復というリアリズムからの逃避・・・日本側の要請に応えてアメリカが施す恩恵という形で基地提供するはめになった稚拙な日本外交・・・日本の自主外交が頓挫した起源は、戦争責任を回避するため、米軍への基地提供を指示した昭和天皇の二重外交にあり、「皮肉なことに、単独講和と安保条約というきわめてリアルな選択が、逆に日本外交からリアリズムを奪いさる結果をもたらすことになった」という達見に、深く共感した次第である。
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