
東国王権と西国権力のしのぎ合い
中巻は菅原道真が宇多天皇に起用される場面から鎌倉幕府の滅亡までが扱われる。この巻全体のモチーフは、すでに確立されていた「畿内の権力に対する関東の勢力のチャレンジ」で、その過程で関東の勢力が大陸・半島と通商関係にあった九州の勢力と連携を模索したり、畿内の権力は瀬戸内海や東北の勢力を抱え込もうとしたり、また天皇と上皇と摂関家、武士、寺社勢力の絡み合いという「平家物語」的関係の束が荘園・公領からの、また多彩な職能民が生産する、あるいは大陸・半島との貿易が産む利益を巡って争う生き生きとした姿がこの巻からは読み取れる。平安後期も、鎌倉期も、何かとても生臭い、血の匂いがする不穏な時代として読む者の前に現れる。この巻の最後に、いったんは関東を根拠地に築き上げられた東国王権は火を放たれて焼け落ち、崩壊する。
物語的ドライブ感が展開されている1冊。