
気になった点
本書は手塚さんの講演集、友人たちの回想、そして短編『ゴッドファーザーの息子』から構成されています。
回想録が交えられることにより、
手塚さんの人となりを立体的に理解することができます。
講演部分では、いじめ体験と戦争体験がいかにご自身の人間形成とその作品世界に反映されているかが、
平易かつ情熱をこめて語られています。
『ブラックジャック』、『火の鳥』などの代表作品の簡単な解題もされており、
手塚漫画入門としても良いです。
個人的に本書で最も気になったのは、
手塚さんが、『鉄腕アトム』等が誤読されて、
間違ったメッセージ(例、科学万能)が流布しているという趣旨のことをおっしゃっている部分です。
手塚さんに限らず、今日、
例えば司馬遼太郎や新渡戸稲造が都合よく読まれていないか、
少し気になりました。

今のだらけた世代に読んでほしい
漫画界の黎明期に出現した巨人の講演などをまとめた新書。濃厚な内容を誇れるか?というと否と答えるが、一個の人間ととしてこれほど充実な人生を送れる者がそうそうにいるのかと問われても否だろう。ゲームだ、アニメだとたわごとを抜かす前に、腑抜けどもは、その人生を見つめなおす必要があるだろう。私自身、手塚氏の業績に敬意を払わずにこれほどの年齢になってしまったが、「漫画」を創造した著者を再発見した思いにとらわれ、本書の意義を痛感した。さて、これほどの才能が次回、日本に生まれるのは、いったいいつ?私自身を見つめながら、考えたい。必読。