
古い本だが、この意識を今でも持っているならば、生き残れないだろう
もちろん、新聞にまつわるデータ、記者の苦労話、補章の戦争についてなど、有益な内容はある。
しかし、題名の『新聞は生き残れるか』からすると、この内容では、悲観的に取らざるを得ない。
全体的に新聞の驕りを感じる内容が多く、個別的に言えば生き残りの方法が不十分なところがある。すなわち、ネットを生かしてどう採算を取るかが大事なのに、ネットの悪口を書いているようではダメである。あと、新聞社の努力を求めるところがあまり印象になく(再販維持だもんなぁ。ある程度の日にちが経ったら値下げすることが悪いとは思わないが)、他人の努力を求めるところが多いように感じた。
以上、第1段落星4つ、「しかし」以下星2つ、中間を取って星3つ。

新聞の未来
「新聞」という訳語をnewspaperに与えた人に賞賛を与えている。すなわち紙媒体にこだわると昨今の情報化の流れに乗れずに業界が衰退していくが、紙の概念を乗り越えて情報を身体全身で感じ取れるようなメディアを目指せば、業界にも未来はあるということらしい。旧来の新聞ビジネスモデルが危ないといって騒ぐのではなく、ビジネスモデルを修正していけばよいだけのことだと思うが、どうだろう。

業界関係者必読の書
本書は新聞社に実際に勤務していた著者自身の経験に基づく「新聞社の視点」および様々なデータや調査結果に基づく「読者の視点」の両面から、現在の新聞業界の課題や問題点について幅広く分析をしている。一般的に新聞業界の将来について悲観的な見方が多いなかで、本書では実現可能性は別として新聞社のあるべき姿や方向性まで踏み込んで言及をしており、業界業係者のみならず今後マスコミ業界を志望する方が業界研究をするうえでも大変参考になるのではないだろうか。

メディアの在り方という難題に挑む
著者の悩みがひしひしと感じられる本である。新聞は様々の問題を抱えている。若者を中心とした新聞離れ、ネット報道に対する悩み多い対応、政治部主導の政治報道への批判、変わる記者の気質、報道へのプライバシー保護の厳しい判決等々・・本書ではこうした問題への著者なりの回答はある程度与えられているものの、中には、著者自身すぱっとした回答が出せないことを認めている問題もある。考えてみれば、メディアが国民の支持によって成立している以上、国民自身がメディアに何を求めているかが、国民自身分からない現代で、著者のこうした悩みはもっともだ。その意味で、この本は読者自身が考える素材になる本だ。読んで、「全部が分かった」という本ではない。そんな本は、新聞について、現在存在しないと思う。新聞記者自身による模索の本として評価したい。

先行する現実を概念化する苦しみ
朝日OBによる新聞の危機への自己認識の書。新聞が今直面している問題は根が深い。取材され報道される側が、自分が報道されること自体を不本意と感じ「人権の侵害」だと訴える。あるいは民主主義の基盤である「表現の自由」が、プライバシーという「人格権」と衝突して、表現が本来もっている「公共性」の理念が揺らいでいる。「教え諭す」スタイルを嫌い、「そっとしておいてほしい」という若者の感性は、他者を知ることと自分が知られることのアンビバレンツという、人間の本質に触れている。我々が「互いを知り合う」ことに予定調和は存在しないのだ。そのことを認めた上で、しかし著者は、例えば新聞とインターネットとの競合にも、たんなる対立ではなく新しい補完関係を模索する。洪水のように事件や戦争が報道される。しかし、(事がそうだとして)「で、それでどうなんだ?」という冷静な視点をどう確保するのか?先行する現実にせかされて苦闘するのは新聞だけではない。我々が直面している普遍的な問題の深さが、この小著から見えてくる。