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アメリカ 過去と現在の間 (岩波新書)

アメリカ 過去と現在の間 (岩波新書)
発送:通常24時間以内に発送
発売日:2004-12
ランキング:66002
おすすめ度:4.0 | レビュー数:5
おすすめ度:5正統派アメリカ分析
『アメリカニズム』のような研究書ではないが、『アメリカニズム』では欠けていた宗教面での分析や、大統領選での結果をも取り込んでいるという点で、待望の著書といえるだろう。アメリカのように多様な側面を持ち合わせている国家の分析には、表面的な手法は通じない。その点、著者は、故高木八尺先生、斉藤眞先生の後継者と思われるだけあって、アメリカ建国以来の歴史をふまえたうえで、何が新しく(特異で)、何が「アメリカ的」であるのかを、冷静に観察している。アメリカに関する著作は数多くあるが、最も信頼に足る一冊ではなかろうか。
おすすめ度:4いまのアメリカを知るために
建国から現在に至る、アメリカの背骨的な精神史、思想史を大胆に解釈・再構成した著者の力量には感服せずにはいられません。過去から眺めた現ブッシュ政権の異質さや、逆に同質さについて、理解を得ることが出来ました。また、「既に述べたように・・・」の連発に見られるように、ひんぱんに議論をまとめて整理をしてくれるので、大変読みやすかったということも付言しておきます。ただし、新書という体裁上しょうがないことかもしれませんが、出来事と、そこから派生する思想についての解釈が、少々牽強付会と感じることがありました。もう少し実証性が欲しいところだとは思います。
おすすめ度:5時事問題とアメリカ史の橋渡しをする啓蒙書
本書は、現在のアメリカで表面化している(と多くの人がみなしている)5つの現象に対して、歴史学的なアプローチを試みたものである。その5つの現象とは「ユニラテラリズム」「帝国」「戦争」「保守主義」「原理主義」である。これらすべての現象について著者が試みようとしているのは、「どこからが新しいもの(現ブッシュ政権に特有のもの)で、どこからが古くからのもの(アメリカ史にその起源を見出せるもの)であるか」を見極めることである。そして、言うまでもなく、力点は後者――歴史的に遡って起源を見出せるもの――のほうに置かれている。おそらくアカデミズムの世界では、新たな情報や視点は本書の中には見出せないだろう。しかしながら、現ブッシュ政権の単独主義的対外政策に驚き失望している人が多い中で、「そうした対外政策の事例はアメリカ史の中にすでに多数存在しており、むしろ伝統との整合性により着目すべき」と論じることの意義は小さくないと思う。とりわけ第4章の「保守主義」においては、もともと定義が曖昧な「保守主義」という概念を、「ヨーロッパからの継承」という側面と「アメリカの建国以来新たに加えられた特徴」という側面から分析し、時代とともに「保守」の意味するものが変化してきた様を歴史的に解説しているのは、近年のネオコンや共和党右派に対する単純な見方を修正させる啓蒙的意義を有していると思う。時事問題に対する歴史的な裏づけを提示し、アメリカ史への興味と理解を深めさせる本書のような啓蒙書はもっと世に多く出るべきである。
おすすめ度:1誇大妄想
アメリカ外交の4つのキーワードを歴史的に解説した本だが、現地アメリカで読むと多分に誇大妄想的な解釈が気になる。つまり思想化しすぎているように思える。しかも、議論をサポートするケースや引用が恣意的なので、いかようにも思想化できてしまうのである。この手の論法は古くさいと思う。筆者は滞米経験があまり無いようだが、そのあたりも災いしているのかも知れない。もっとリアリティのあるアメリカ論を期待したい。外交史あるいは政治思想史の本としても、アメリカのアカデミズムでは全く通用しないし、おそらくまともな出版社は相手にしない内容だ。
おすすめ度:4ユニラテラリズムの歴史的背景
著者が冒頭に書いているように本書は「アメリカ合衆国の政治と外交が現在直面している幾つかの重要な問題を、その歴史をさかのぼって理解しようとするものである。」そしてそれを読み解く「5つのキーワード」がそのまま本書の5つの章になっている。「ユニラテラリズム」、「帝国」、「戦争」、「保守主義」、「原理主義」がそれである。ただここに中東あるいは原油の問題がないのは残念である。ブッシュやラムズフェルドが何と言おうとアメリカが現在直面している最大の問題は多分に石油問題だからである。著者の掲げるこれらのキーワードが示唆するものはすべて9・11以降に広くジャーナリスティックに論じられた問題であり、著者の意図はえてしてパースペクティヴを欠く日本の新聞報道の欠陥を埋めるところにあると思われる。その意味で日々の断片的な報道に飽き足らない思いをしている新聞読者には格好の一冊として本書をお勧めしたい。ただし著者はアメリカ外交史専門の学者であるから処々に散見される理論化の試み(たとえば保守主義の系譜など)を煩わしく感じる読者もいるかもしれない。評者の考えではアメリカ人が「民主主義」と呼ぶものは「アメリカン・ウエイ・オブ・ライフ」、つまりアメリカ人が歴史的に形成してきた制度と生き方にすぎないからいかに勝れたものであるとしてもそれを他国に押し付けることはできない。本書が試みている歴史的な展望からはそのことが明確に浮かび上がってくるはずである。
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