
アメリカ人日本研究者によって日本と日本人を振り返る
欧米人の日本研究者としてはサイデンステッカー氏とともに双璧をなすのがドナルド・キーン氏である。その氏がリーダーズ・ダイジェスト誌や朝日新聞等に書き綴った日本と日本人への思い出が詰まったものである。
4部構成となっており、
1. 日本との関わり
2. 日本及び日本人に対する考察
3. 日本の伝統芸能に対する評論
4. 日本の文学者たちとの交遊の思い出
が収まっているが、掲出されている紙面が異なるにも関わらず全体の構成を崩すことなく仕上がっているのが不思議な感じがする。それだけ、このドナルド・キーン氏の日本と日本人に対する視点がぶれていないからだろう。
そして、学生時代に初めて氏の日本及び日本人論を読んだが、随分と長い年数が経過しているのだが、その時と変わらぬ優しさを感じる。氏も書いておられるが、前世は日本人だったのではとあるように、日本人よりも日本人的精神の持ち主なのかもしれない。
本書は三島由紀夫を研究する方には参考になると思われるし、谷崎潤一郎がノーベル文学賞の候補であったことが窺えて興味深い。