
「世界の猫ばなしを、河合流の心理学で分析?!」
『猫だましい』という、この本の題名を見たとき、河合隼雄が、実は
「日本ウソツキクラブ」の会長を務めていた事を知る人は、この本が、また
『ウソツキクラブ短信』のような「ウソとダジャレの本」だと思うであろうが、
そうではない。
この本は古今東西、世界の「猫の物語」を河合隼雄が専門にする分析心理学
によって、その心理学的な意味の探求と分析を行いつつ、河合流のダジャレに
よって、読者に清涼感を与えるという仕掛けを施した本である。
そして「宮沢賢治の猫」についての解説では賢治が物語を制作するにあたって
賢治は意識的に物語を作ったのではなく、フロイトや、ユングの謂う意味での
「無意識」との折衝、対話、または、それの注意深い観察によって物語を創作
したのだということを、解りやすく説明されている。
例えば河合は「作者の思いがけないことが起こるものこそ、本当の「創作」である」
と述べている。つまり、本物の創作作品とは、自我による意識的操作によって、
制作されたものではない、無意識という「己を超えたもの」の存在が関係すること
によって、はじめて生み出されるという事であろう。
宮沢賢治の物語と同じように、河合隼雄のダジャレも、無意識という己を超えた存在
から、生み出されたに違いない。

猫という生き物の魅力を多角的に分析、自分的にも再確認
昨年他界された、前文化庁長官であり心理療法士の河合隼雄さんが、人間が創作した物語のテーマやバックグラウンドに込められた猫の魂の存在に焦点を当てて書かれた作品。
古今東西の物語の中には猫の生態を擬人化or擬猫化(?という特殊な置き換えがなされ、人の精神や魂のモチーフとなって表されている作品が無数に存在する理由を、特に猫好きでもないと断言する筆者の、心理療法士ならではの鋭い論点・視点が、猫好きにはたまらないカタルシスを与えてくれます。
やっぱりニャンコは宇宙一スペシャルな生き物だったんだ!
っと、更に確信できること間違いなしの超良書ですw
・・・え〜と、特に僕が気になったのは、「長靴を履いた猫」における、
{トリックスター≒山師・詐欺師・イタズラ好き}として主人公の立身出世の道案内をする、巧妙な嘘つきとして描かれる猫が現代で言うところの{仕掛け人≒プロデュース}的人種に当てはめて分析しているお話が、何とも納得できます。
ネコ好き・民話伝承好き・創作好きにもオススメな一冊。

河合氏に敬意と弔意を表して
人間のたましいはそれ自体を取り出すことはできないが猫を主人公とする作品を基にして、猫を通して人間のたましいについて語りたい。それが本書のコンセプトである。
猫に対する多様なイメージを、猫マンダラを用いて整理するところが、ユング派の著者ならではの視点であろう。
気難しいと言われる猫を愛撫する男性の長い指先に見惚れたことがある。こまやかで丁寧な仕草にうっとりと見蕩れた。とてもエロティックでセクシーだった。私が猫に嫉妬したのは、その一度きりだ。
人の心をとろかすような愛撫の体験を猫たちはもたらしてくれるが、人間同士では難しいことがある。そんなときは、たましいを見失った「人でなし」の状態であるとの指摘が耳に痛かった。

とろかし猫にやられた私
猫好きはもう「とろかし猫」によって完全に猫のとりことなっているから、猫に関して冷静になってはいられない。
河合さんは無類の猫好きではないという。それゆえさまざまな猫の側面や猫のおかれた立場(!)猫にまつわる伝説や言い伝えを冷静に描いている。
私のような猫好きは猫に関して書けばどうしても感情的になってしまうだろう。
とろかし猫にあう前まで私も猫は怖いものだと思っていた。
昔話に出てくる怪猫や鍋島騒動の猫はあまりにも不気味である。
小さいころは猫は不気味だと思っていた私が今ではすっかり心がとろかされてしまったのも猫の魔力によるものと、この本を読むとそう感じる。
又大好きだった本「こねこのぴっち」「注文の多い料理店」「綿の国星」に触れているのもうれしい。「綿の国星」をあそこまで理解している河合さんはすごい。
河合さん今闘病中とのことだが、早くお元気になられることを心より願っている。

猫好きは必読!
猫尽くしの本です。
特に猫が好きという訳でもないんですが、河合隼雄さんが好きなので読んでみたところ猫が大好きになってしまいました!
谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のおんな」や大島弓子さんの「綿の国星」など、大好きな作品に登場する猫についても詳しく解説されていて、とても新鮮でした。
物語に猫の存在は必然。
人生という物語を生きるにもまた必然。
読んだら必ず猫が飼いたくなるので、ペット禁止のマンションの方は読まない方がいいです。
猫好き垂涎の一冊!