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組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか
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発売日:2000-11
ランキング:40363
おすすめ度:4.0 | レビュー数:8
おすすめ度:4現実性に乏しくはないだろうか?
読みやすい本で一気に読了できる。経済学に縁がなかった読者でも問題なく読めるだろう。内容はあの話題になった「失敗の本質」に続くものである。「失敗の本質」ではその分析は多角的になされているという点が売りであったが、残念ながら当時の学問の水準では経済学・経営学の観点からの分析には問題があり、詳しく取り上げられてはいなかった。本書はこの点に絞ったもので、しかも同一の著者によるものであるために分析にもばらつきがなく、そこは評価できる。問題なのは、このような分析が現代の組織を見る上で応用できるのか、実際の組織改革に役に立つのか、ということだが、この点に関してはいかがなものか。私見ではいまひとつという印象を受ける。というのは、組織改革に必要なコストを考えれば、たいていの組織は現状維持という、まさに当時の日本軍と同じような「無難」な選択を取ってしまう危険がないだろうか。日本軍の中に、そのがんじがらめになった「組織」を改革することでうまくいった事例があったのだろうか。本書で取り上げられている今村大将、硫黄島、沖縄の例は、組織改革の例として適当とは思えない。面白く読めることと、現実の組織にその分析を応用して改革に役に立てる、ということとは両立しないのではないか。
おすすめ度:1衝撃の1冊
ダブルKこと菊沢研宗御大による旧日本軍をケーススタディとした経営学界の最高傑作です。ふだん、組織の中で"不条理"を感じている人には衝撃の1冊だと思います。
おすすめ度:3着眼点は良い。しかしながら学説書としての限界を感じる。
本書は、インパール作戦・ガダルカナル戦など従来「不可解・不条理・反倫理」とされてきた旧日本軍の行動を、新制度派経済学に基づく組織論で読み解くことにより、これらが人間の合理的な意思決定の上で生じた「誤謬」であり、同様の事例は現在の日本企業でも十分に生じうる(事実生じている事例も多数紹介)危険性を孕んでいると示唆する。旧日本軍、ソニー、トヨタ、拓銀等々といった非常にポピュラーな組織に焦点を当てたことにより、現代の組織論・経営論的思考を広く社会に浸透させ得る点で、本書の価値は大いに認められる。しかしながら、本書の大部分が旧日本軍の行動を綴った事実紹介に割かれ、コスト理論・エージェント理論・囚人のジレンマ等といった制度分析ツールの掘り下げたapplicationが十分になされておらず、結果として旧日本軍の行動が「新制度派経済理論の上では」合理的であったと確信させるところには至らなかった。また、最終章ではこうした「合理性に基づく非条理」を回避するための処方箋として、「批判的精神の涵養・実践」「漸次変革の実施」を提言する。事実、社内批判を取り入れることで成功した企業も多いし、何より現代サラリーマンの耳に非常に心地よい提言だろう。しかしながらこの結論には折角の前半での分析が全く生かされていない。今村中将は将校・下士官の批判を聞いたから成功したのか?牟田口中将は部下からの散々な批判を受けたが、失敗した。内部批判が尽くされた上で合理的な判断がなされたとしても、不条理は生じ得る。敢えて新制度派理論に沿って解決策を挙げるとするならば、組織変革による取引コストの低減と情報拡大による合理的判断の確保であると思われるが、この点についての説明はなされていない。まるで「要は経営者の心構えだ」と説く本書の態度に、組織論の学説書としての限界を感じる。
おすすめ度:5組織の経済学的分析
防大教授による日本軍の組織論というと、「失敗の本質」が思い浮かびますが、軍隊というのは「組織の特徴が極端にでる」(あとがきより)存在で組織論の格好の研究対象のようです。なお、「失敗の本質」から二十年、両書を読むとこの間の組織論の進展が分かります(著者も「失敗の本質」を意識。)著者の主張は「組織の不条理も個々の行動主体から見れば経済学的に合理的であり、経済学の視点から説明がつく」というもの。そのため、分析のツール(制度派経済学)が説明されますが(第一章)、組織経済学の成り立ちを整理する上で、ここだけでも読む価値はあります。感想を三点。①身の回りの分析が現実的になりました。確かに経験的にどんなひどい(不条理な)と思われる組織も、何らかの経済的インセンティブをもって行動された結果、と見とれるような気がします。②組織を見る眼が暖かくなりました。不条理な組織でも個々の成員の責任や倫理観だけを問うても意味がなく、事の本質は組織の制度設計。結局、身の回りを見ても個々に限定的ではあるにせよ、合理性を持った人達でした。③穏健的(民主的)リーダーシップは、経済学的にも正当化されることが分かったことが嬉しかった、というのもありました。限定的合理性の集まりの組織では、極力個々のインセンティブの働く方向や情報を同じにすることが成功のひとつの要素、専制的ではこの働きが弱くなります。非常にお薦め。読みやすく、「組織の経済学」の厚さにたじろぎを覚える人には、まずこちらを。
おすすめ度:5華やかさは無くても、地に足の着いた良書
人間は限定合理的であり、その限定合理的な人間の集団であるいかなる組織も、限定合理的である。そして条件さえそろえば、組織は合理的に非効率な手段を選び、やがて破綻していく。題材は大東亜戦争で敗退した日本軍であるが、今日のどんな組織にも当てはまる、鋭い指摘である。本書では、人間と組織の限定合理性を認め、常に批判を受け入れる「開かれた組織」を構築することを、その解決策として主張している。セオリーとしての組織論は理解できても、実際の組織が不条理に陥らない方法を見出すことのできる組織経営者は少数派であろう。多くの経営者が、このメカニズムを研究し、具現化することを切に望む。華やかさは無いが、地に足の着いた良書である。
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